【映画鑑賞】「ヘレディタリー/継承」何より怖いのは人間
【公開日】2018/11/30
【制作】アメリカ
【監督】アリ・アスター
公開から1ヵ月以上経ってしまったけど、やっと観ることができました。
ホラー要素は控えめですが、細かいところまで丁寧に描かれた良作だと思います。
終盤は好みが分かれそうだけど、ある種人間の執念を感じられて私は好きです。
あらすじ
祖母エレンの葬儀から物語は始まる。エレンとは確執があった娘のアニー、アニーの夫スティーブン、息子のピーター、そして母より祖母を慕う娘チャーリー。祖母の死を乗り越えようとする一家だったが、次第に家族の周りで奇妙な出来事が起こるようになっていく…。というお話。
感想
とにかく不安な気持ちになる
この映画、いわゆる幽霊や怪人の類は出てきません。
だけど、カメラワークや意味深なカット、登場人物の表情が観ている側の不安を煽る煽る。
ホラーって、緊張感と脱力のバランスが大事だと思ってるんですが、それを存分に堪能する事ができました。
いわゆる「これから怖いのが来るぞ、来るぞ」「来ませんでしたー」という感覚を味わえます。
丁寧な人物描写
また、登場人物が限定されているからか、心情がよく表現されていると思いました。
- やり場のない悲しみや憤りを理解されず、オカルトに傾倒し家族から孤立を深めていくアニー
- 妻の行動に戸惑い、徐々に不信感を募らせていく父スティーブン
- 事故を引き起こした自責の念と母への不信から情緒不安定になっていくピーター
- 人付き合いが得意でなく、母親に心を閉ざすチャーリー
特に母親のアニーは、家族を愛しているけれども正反対の行動として表れてしまう。
その苦悩がよく伝わってきました。
説明は最小限ですが人間関係についても分かりやすかったです。
例えば、祖母の死への対応がピーターとチャーリーで対照的だったのは、なるほど、そんな理由があったのか、と。
人間の執念って怖い
一連の出来事はある目的を成就させるため、と言っていいでしょうか。
非常に不条理な現実を一家は叩きつけられるのですが、それを望んだのは祖母をはじめ仲間たち…。
そう思うとチャーリーが祖母に懐いていた(らしい?)のも忌まわしく感じてしまいます。
この映画をおススメしたい人
少々好みが分かれそうな作品ですが、以下にあてはまる人は楽しめるかと思います。
(個人的見解すが)
- 一瞬の恐怖ではなくジワジワくる恐怖が好きな方
- ホラーだけでなくオカルトも好きな方
(番外)
- ドールハウス!ミニチュア好きな方 ミニチュアが今作いい働きをしています
おわりに
感想でも触れましたが、観ていて常に不安な気持ちがつきまとう作品でした。
怪奇現象等の演出は勿論ですが、家族関係が徐々に崩壊している様も観ていて不安が募ります。
新年早々なんでこんな思いを…という気持ちはありますが、細かい描写や散りばめられた伏線およびその回収等、楽しめた作品です。